割安株(バリュー投資)の実際的な詳細に入る前に、まず、割安株投資の歴史や基本的な考え方について解説していきます。
目次
割安株投資は、ベンジャミン・グレアムが提唱
ベンジャミン・グレアムとは?
ベンジャミン・グレアムは、20世紀前半の米国の株式市場の中で、割安株投資(バリュー投資)を確立した偉大なる投資家です。
1894年に生まれ、1926年にグレアム・ニューマン社という投資会社を設立し、その当時は第一次世界大戦後の景気拡大によって米国の株式市場は上昇トレンドが続いていたことから保有投資資産を大きく伸ばしていました。
しかし、1929年の世界恐慌以降に株価が大暴落し、グレアムの資産も70%も減少し、大きな損失を抱えてしまいました。
このことをきっかけに「どのように投資すれば、より安全に利益を得られるのか」を熱心に研究し、その成果として1934年「証券分析」と1949年「賢明なる投資家」の2冊を刊行し現在の割安株投資(バリュー投資)に結び付く考え方を提唱した偉大な投資家です。
グレアムが提唱した割引株投資の基本的な考え方とは?
株価は企業価値を示す1つの指標ですが、グレアムは、必ずしも企業価値とおりの株価になるわけではなく、ある時は、株価が企業価値を大幅に上回ったり、その反対に株価が企業価値を下回って下落することに重点を置いて研究をすすめました。
グレアムは、株価が企業価値を下回っている状態のことを「安全域(下図)」と呼び、株価が企業価値を下回っている状態の時ほど、安全な投資が可能であり利益を得やすいと考えました。
つまり、株価が安全域にある銘柄を買って中長期保有すれば、株価は「本来の企業価値に見合うよう上昇するはずであり、保有していれば利益を得ることができる(下図)」と考えました。これが割安株投資の基本的な考え方となっています。
株式投資で巨万の富を築いた偉大な投資家、例えば、ウォーレン・バフェットなどがグレアムに倣って割安株投資を実践して大成功を収めたケースが少なくありません。
株価が企業本来の価値を下回っている状態が「割安株(安全域)」
グレアムは、株価が企業価値より下回っている「安全域」でその株式を保有すれば、高値で掴んでしまうリスクと下落リスクも抑えることができる利点を指摘しています。
割安株は価値に見合うように株価が上昇する
グレアムは株価は企業価値に収束する傾向が強いことも指摘しています。よって、安値の安全域で掴んで上昇を待つ形で利益を狙えることになります。
グレアムの投資手法を現代向けにアレンジ-PERからまず考察
1949年にグレアムが刊行した「証券分析」と「賢明なる投資家」における割安株投資の基本的な考え方は未だに株式投資の王道と言われています。
もっとも、グレアムが活躍した時代と現在とでは、経済情勢や社会環境が大きく異なり、グレアムの考え方を現在の日本の株式市場にそのまま適用できるかというとそうではありません。現在の日本の株式市場の傾向などに、より適した方法を取る必要があります。
グレアムは1920年~30年代の株バブルと世界恐慌を通して企業の収益の不確実性を身をもって経験した分、収益よりも財務面を重視し主に財務面の指標を重視していました。
しかし、現在の日本の株式市場を調べてみると、財務面も割安度を判断する上で欠かせないものですが、財務面以上に業績面が株価に影響を与える傾向が強くなっています。
例えば、業績面での割安度を示す指標に「PER」があり、PERが低い=割安度が高い銘柄は、株価の上昇率が高くなる傾向があります(下図)。
PERが低い割安な銘柄ほど株価上昇率が高い傾向がある
PERは業績面の「利益」を尺度にして、株価が安いのか高いのかを見るための指標です。「利益=収益価値」に対して現在の株価が安い割安株ほど収益価値に見合う株価までの上昇率が高くなる傾向があります。
当サイトでは、割安株投資(バリュー投資)のメリットやスクリーニングによって有望な銘柄を絞り込む手法などを解説すると同時に当サイトが絞り込んだ「業績好調な割安株 銘柄一覧」も掲載しています。