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投資初心者が知っておきたいCFD取引の仕組み
CFDとは売買差益を狙う差金決済取引(Contract For Difference)のことです。
CFD取引は、現物株式、株価指数、商品・債券などの市場での値動きをそのまま反映しながら、実際に現物株などの原資産を所有することなく売買価格の差額が損益になる取引です。
以下の特徴があります。
- 「買い」と「売り」の両方から取引可能
- 商品価格又はレートの売買差益を狙う取引である
- レバレッジ取引が可能
- ロスカットルールによる損失拡大の防止
- オーバーナイト金利がある
CFD取引ではレバレッジによって預け入れた証拠金の数倍の取引が行えます。そのため、少額資金で大きな取引を行うことで大きな利益を得るチャンスがある反面、相場が思惑とは逆に変動した場合には損失を被る可能性もあります。レバレッジ倍率の設定次第ではハイリスク・ハイリターンの取引となりますが、通常、ロスカットルールによって損失は一定水準以下に限定されるので安心して取引することが可能です、
それでは、CFD取引のそれぞれの特徴を解説していきます。
【CFD取引】「買い」と「売り」両方の取引
CFD取引では、市場の価格やレートが上昇時でも下落時でも利益を得ることができます。CFDでは、株式の現物取引のような買いポジションだけでなく売りポジションを保有することが可能だからです。
基本的にトレーダーは以下のパターンでポジションをとります。
- CFD商品の価格・レートが上昇すると判断すれば買いポジションを保有します
- CFD商品の価格・レートが下落すると判断すれば売りポジションを保有します
【CFD取引】価格またはレートの売買差益を狙う
CFDとは差金決済取引であり、売買差益を狙う取引であり、利益と損失は、保有するポジションに対する市場価格・レートの変動によって決まります。
- 買いポジションでエントリ―し、CFD商品の価格・レートが上がった時に決済すると利益が発生し、下がった場合は損失が発生します。
- 売りポジションでエントリーし、CFD商品の価格・レートが下がった時に決済すると利益が発生し、下がった場合は損失が発生します。
つまり、CFDでは、買いポジションを保有すれば市場価格・レートの上昇幅分の差益を得ることができ、逆に下落幅分の差損が発生します。売りポジションを保有した場合も同様であり買いポジションの逆となります。
たとえば、日経225(日経平均株価)の価格が20,000円の時に1ロット(10単位)の取引を行い、価格が20,500円となると、利益は以下の計算により導き出されます(安い時に「購入注文」して高い時に「売り決済」するケースです)。
- 価格20,000円時の購入金額=20,000円 X 10 =200,000円
- 価格20,500円時の決済金額=20,500円 X 10 =205,000円
- 決済時の利益=5,000円
となります。
【CFD取引】レバレッジ取引が可能
レバレッジ取引が可能なため、少額資金であっても大きな取引が可能なので、資金効率(投資効率)の高い取引ができるメリットがあります。
CFDでは、金融庁が「株式や債券等の有価証券関連店頭デリバティブ取引(証券CFD取引等)」においてレバレッジを規制しており、国内CFD業者は商品先物CFDを除き金融庁が定めている証拠金規制とレバレッジ規制に従わなければなりません(海外CFDには証拠金規制とレバレッジ規制がないため業者ごとに決められています)。
国内の証拠金規制 & レバレッジ規制 | |
株価指数CFD | 取引金額の10%以上の証拠金が必要(レバレッジ10倍以下) |
個別㈱式CFD | 取引金額の20%%以上の証拠金が必要(レバレッジ5倍以下) |
債券 CFD |
取引金額の2%以上の証拠金が必要(レバレッジ50倍以下) |
商品先物CFD | ・規制対象外なので証拠金維持率とレバレッジは業者ごとに決められている ・20倍前後で設定されていることが多いです |
海外では証拠金規制とレバレッジ規制はない | |
全てのCFDの証拠金維持率とレバレッジは海外CFD業者ごとに決められている |
レバレッジの最大倍率は、日々値洗いされる実質の証拠金を元に計算した「実効レバレッジ」での最大値が適用されます(取引開始時レバレッジの最大値ではありません)。
レバレッジ活用時の必要証拠金の計算例
たとえば、日経225(日経平均株価)の価格が20,000円の時に1ロット(10単位)の取引をレバレッジ10倍で行う場合の必要証拠金は以下となります。
【レバレッジ10倍の場合の必要証拠金】
20,000円 X 10 =取引価格 200,000円 ÷ レバレッジ10倍 = 必要証拠金 20,000円
【レバレッジ1倍の場合の証拠金】
20,000円 X 10 =取引価格 200,000円 ÷ レバレッジ1倍 = 必要証拠金 200,000円
このようにレバレッジ10倍を活用することで必要証拠金が10分の1となるので少額資金からでも取引できるのです。
レバレッジ活用時の利益計算例
上記のケースで日経225(日経平均株価)が21,000円に価格上昇した場合の利益は以下となります。
21,000円 X 10 =保有ポジション残高 210,000円 – 購入時取引価格 200,000円 = 利益 10,000円
上記の通りレバレッジ1倍でも10倍であっても取引価格は同じ200,000円がベースとなるので違うレバレッジであっても利益は同じとなります。
レバレッジのいかんにかかわらず利益は同額となることからレバレッジを上手く活用できれば投資効率を高めることができるのです。
レバレッジ取引では少額資金でも大きな取引ができるメリットがあると同時にロスカットされやすくなるリスクもあります。国内CFD業者ではロスカットだけなので証拠金以上の損失が発生し「追証」のリスクがありますが、海外CFD業者ではゼロカットが導入されているので証拠金以上の損失は発生しません。
【CFD取引】ロスカットルールによる損失拡大の防止
ロスカットルールとは、保有しているポジションで、一定の水準以上の損失に達した場合、損失拡大の防止のため、保有しているポジションを強制的に決済(手仕舞い)することです。
CFD取引では相場の変動いかんでは大きな損失が発生したり、預託した証拠金のすべてが損失となるリスクがあります。
そのため、通常、FX業者などのCFD業者では、損失額がある一定の水準に達した時点で強制的に保有ポジションすべてを決済するロスカット ルールが導入されており、損失の拡大を一定水準以内に留まるようになっています。
最低限の資金を温存させるロスカットルールがある場合でも、価格やレートが大幅に急変したり相場の状況などよっては預託された証拠金以上の損失が発生し追加保証金(追証)を支払わなければならないリスクもあります。
【CFD取引】オーバーナイト金利がある
買いポジションと売りポジションで異なる
オーバーナイト金利(スワップ)は、日をまたいでポジションを持ち越すと発生します。買いと売りのポジションによって以下のようになります。
- 買いポジションを持ち越すとオーバーナイト金利を支払います
- 売りポジションを持ち越すとオーバーナイト金利を受け取れます
FXのスワップ金利(スワップポイント)のイメージに近いものです。
オーバーナイト金利の計算には、各国の政策金利やLIBOR金利(ロンドン銀行間取引金利)が使用されます。一般的には、
- 買いでは「政策金利+上乗せ金利」
- 売りでは「政策金利-上乗せ金利」
で計算されます。
上乗せ金利はCFD業者によって異なりますが、3%程度が一般的です。
CFD市場がある国の金利が適用される
上記でオーバーナイト金利の計算には政策金利が用いられると説明しましたが、たとえば、日経225(日経平均株価)の株価指数CFDを売買する場合、日本の政策金利が適用されます。また、NYダウの株価指数を売買する場合はアメリカの政策金利が用いられます。
日経225(日経平均株価)を買う場合、現在、日本の政策金利は0.1%なので、
- 日本の政策金利0.1%+3%=3.1%の金利を支払う
NYダウ株価指数を売る場合、現在、アメリカの政策金利は1.25%なので、
- アメリカの政策金利1.25%-3%=-1.75%の金利を支払う
ことになります。通常、売りの場合、政策金利が上乗せ金利より大きければ金利を受け取ることができますが、上記の場合はマイナスであるため逆に支払うことになります。
このようにCFD商品の取引市場がある国の金利が適用されています。