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ロスカットは危険なのか
ロスカット制度とは取引中に「含み損(現在のレートで決済した場合の損失)」が大きくなり過ぎた際に、トレーダーに証拠金を大きく上回る損失が出ないよう強制的に決済される仕組みのことです。
このロスカットは国内FX、海外FXともに導入されていますが、本当に損失の拡大を防ぐためのものなのでしょうか。
実はFXではこのロスカットが過去大きな相場変動を見せたときに間に合わず、何分間も取引が停止してしまい、トレーダーの多くが口座残高をマイナスにしてしまいました。
スイスフランショック、イギリスEU離脱などの際にそのような大きな相場変動が起きました。やはりそのときにも借金を負ってしまった人が何千人もいました。
このようなことが実際に起きているとなるとロスカットは本当にトレーダーを守ってくれる制度なのでしょうか。
ロスカット遅延の責任問題
ロスカットは大きな相場変動時以外にも損失が拡大してしまう場合もあります。
特に国内FXではスリッページ(発注時と成立時の価格差、「すべり」とも言う)によって損失が発生してしまい、必要以上の証拠金(追証)を支払う義務を負うことになります。
実際にロスカット遅延による損失拡大について、トレーダーが国内FX業者に対して損失賠償請求をした裁判がありました。
その裁判の判決で、東京地方裁判所は「10秒以内」のスリッページは許容される範囲とし、その裁判を起こされた国内FX業者は18秒のスリッページを起こしたため、トレーダーの請求通りに国内FX業者の債務不履行を認めました。
「10秒以内」のスリッページは現在国内FX業界で基準とされており、以下の相場状況では「10秒以内のスリッページ」はトレーダーの責任となります。
✓市場規模の大きいドル・円相場
✓米国の日中営業時間中の為替変動
✓銀行間取引レートが急激に変化していない
つまりこの3つの条件を満たしていれば、どんな長い時間のスリッページでも国内FX業者は責任を取らなくて良いことになっています。
なので相場急変時などにスリッページされ、追証を負わされてもトレーダー側の責任になってしまうため、このルール自体が国内FX業者に甘いといえます。
国内FX業者のロスカットの考え方
このように国内FXではロスカットのルールが国内FX業者側に有利なように働く傾向があります。
むしろ自社が有利になるようにこのルールを利用している節もあります。
というのも国内FX業者はDD方式という取引方式を採用しているため、トレーダー側とFX業者側の利益が相反しているのです。
DD方式は「相反取引」ともいわれ、トレーダーが利益を上げればFX業者が損をし、FX業者が利益を上げればトレーダーが損をするという、相反する取引形態を取っています。
そのためFX業者はトレーダー側に損を被らせたいのです。
つまり国内FX業者はこの制度の抜け穴を使い、業者が抱えきれない損失をトレーダーに負担させるためにスリッページが活用されており、「10秒以内のスリッページ」は国内FX業者にとってはむしろ甘いルールなのです。
また裁判を起こすことにもお金が必要になってくるという面を加味して、国内FX業者は多少10秒ルールを破って来る可能性も否定はできません。
実際に泣き寝入りを余儀なくされた人もいます。
またロスカット制度に関する規則では、金融先物取引業務取扱規則第25条の3に関する細則(外国為替証拠金取引に係るロスカット取引関係)に、
「投資家の損失が、当該投資家が預託する証拠金の額を上回ることがないよう、会員(国内FX業者)が定めるべきロスカット取引の取扱いその他必要な事項を定め、投資家の保護、市場の公平性及び業務の適正化を図ることを目的とする」
と定められていますが、同細則「第4条 ロスカット取引が機能しなかった場合の対応」の第1項に
「電子情報処理組織の異常その他の理由によりロスカット取引の実行ができなかった場合における投資家への対応方針を定めるものとする」
それに対し、第2項では
「前項の対応方針は、会員(国内FX業者)の責に帰すことができない事由を除き、投資家の保護に資するよう定めるものとする」
とあり、FX会社の責に帰すことができない事由を『免責条項』として定める余地を与えています。
つまり免責条項を定めれば、国内FX業者は責任を追求されないのです。
免責事項とは各社差はあれど、概ね
「通信及び技術上の故障及び不具合、ネットワーク機器内での妨害や、通信不調、インターネット接続サービス提供業者のシステムの一部の不完全または遮断によるお客様の一切の損害に関して当社は免責されるものとする。本サービスの接続に関して提供される情報データの遅延、不正確、誤り及び不作為に対して当社は免責されるものとする。」
とあり、責任の追求から逃れるルールを確立しています。
さらにロスカット制度は金融先物取引業務取引規則は「法令ではなく、自主規制ルール」としているので、あくまで「自主規制ルール」なのです。
海外FX業者のロスカットの考え方
一方、海外FX業者はロスカット遅延に対して厳しく責任を負っています。
海外FX業者は相場の変動において予想可能、不可能にかかわらずFX業者のトレードシステム経由での遅延である以上はFX業者が責任を負い、トレーダーに負担はさせないのです。
また海外FXにはゼロカット制度が導入されています。
ゼロカットはロスカットの遅延によって証拠金以上の損失が発生してもそれをゼロにしてくれる制度です。
追証は発生せず、トレーダーの損失は証拠金だけになるので、実質自分が用意した資金以上の借金を追う必要がないのです。
ちなみに海外FX業者はNDD方式という取引形態を採用しています。
これは国内FX業者とは違い、トレーダーとFX業者の利益が一致しています。
そのためトレーダーの損失を抑えて次々と取引をしてもらおうとするので、追証などがないのです。
海外FXのゼロカットはロスカットの保険として必要なもの
以上のことから分かる通り、ロスカットは安全弁としては不十分であり、国内FX業者はロスカット制度の抜け穴を使ってトレーダーに負担を負わせています。
一方で海外FX業者はロスカットの責任を負うことを前提にしており、またトレーダーに負担を負わせないためにゼロカットを導入しています。
またゼロカットはハイレバレッジの魅力を最大限サポートするためにも必要なものです。
海外FXでは国内FXのようにレバレッジ規制がないのでハイレバレッジによるトレードが可能で、レバレッジの倍率が高いほどわずかなレート変動でもロスカットされやすくなるので、急激な相場変動ではそのロスカット水準を簡単に超えてしまいます。
しかし超えてしまってもトレーダーを保護するためにゼロカットを導入し、必要以上の借金を負わせないようにしているのです。
国内FXでロスカットされて追証を負ってしまうより、ロスカットされても追証がなくなるゼロカット制度を導入している海外FXがおすすめです。
海外FX ゼロカットのメリットとは?
海外FXのゼロカットは別名「追証なしサービス」と呼ばれており国内FXにはない海外FXならではのサービスです、ゼロカットの仕組みやメリット、どの海外FX業者が信頼できるゼロカットを提供しているのかなどを解説しています。
あなたは国内FX向き?海外FX向き?
FXには国内FX業者と海外FX業者があり、それぞれにメリット・デメリットがあります、どちらに向いているのか比較しましょう!