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バリュー株(割安株)は単に低PER株、低PBR株ではない
「割安株投資(バリュー投資)おすすめな理由」「【バリュー投資】割安株を見極める方法(PER、PBR編)」でもお伝えしていることですが、バリュー株(割安株)を選ぶためにはPER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)だけでなく他の投資指標、経営指標や財務指標も加味してその銘柄を総合的に評価する必要があります。
バリュー株(割安株)を市場全体からピックアップするためにはその株式の安全性(安定性)、成長性、収益性などを評価できないと「本当に割安かどうか」が分からないからです。
株価が安い銘柄には大きく2種類があり、
- 実力があるけど何らかの理由で割安になっている
- 業績や資産状況が良くないために割安になっている
場合がほどんどであり、このような割安株となっている理由をPERとPBRだけで判断することは不可能だからです。
バリュー株(割安株)スクリーニング条件を設定し評価・判断する
では、PERとPBR以外の評価指標も加えてどのように評価すれば良いのでしょうか?
当サイトとしては、PERとPBRに以下の評価指標を加えた「スクリーニング条件」に基づいてバリュー株(割安株)であろう候補を選び出し、さらに「安全性」「収益性」資本効率性」「成長性」関する種々の指標をもって評価したものをランキングにしてまとめています。
スクリーング条件の設定には以下の基準を設けており、厳しめの条件設定を行い厳選してあります。
予想PER、PBR、ROEなどの投資指標面で市場の平均を下回っており、割安感の強い銘柄を抽出するために、以下の条件を満たす銘柄を対象としています。
- 予想PERについては、市場平均の0.8倍未満
- PBRについても、市場平均の0.8倍未満
- 流動性が保たれる必要性から時価総額100億円以上
- 一定の財務安定性が保たれる必要性から自己資本比率40%以上
- ROE(株主資本利益率)は8%以上
- 配当利回りが市場平均以下
直近のPERとPBRの市場平均値は「国内の株式指標 時価総額・PER・PBR等」でもご確認頂けます。
バリュー株(割安株)スクリーング条件
以下のスクリーニング条件を満たす銘柄を「割安株」の候補として抽出します。個々の条件数値を完璧に満たさなくても若干前後する程度の数値も満たしたものとします。
スクリーニング条件表
バリュー株(割安株)スクリーニング条件 | |||
予想PER | 市場平均x0.8以下 |
自己資本比率 | 40%以上 |
PBR | 市場平均 x 0.8以下 | ROE(株主資本利益率) | 8%以上 |
時価総額 | 100億円以上 | 配当利回り | 市場平均以下 |
スクリーニング条件に付け加える経営分析指標・財務分析指標
上記のスクリーニング条件を基本に「候補銘柄」を抽出したら、以下の経営指標・財務指標を含めて総合評価した結果をランキングにまとめています。
安全性指標・収益性指標・成長性指標
安全性 | |
流動比率 | 流動負債に対する流動資産の割合。流動負債=1年以内に返済すべき負債、流動資産は1年以内に現金化できる資産、流動比率が高ければ短期的な返済能力が高いことを示します。 |
当座比率 | 流動比率と同様に短期返済能力を示す指標です。流動資産のなかでも短期間で現金化できる当座資産(主に現預金等+売上債権)を用いて求めるため、流動比率よりも厳密な短期的返済能力を示す指標になります。 |
固定比率 | 自己資産に対する固定資産の比率を表す指標です。建物や設備といった固定資産が自己資本の範囲に収まっているかを確認できるため、適切な設備投資を行っているかどうかを判断する指標になります。 |
株主資本比率(自己資本比率) | 総資本に対する自己資本の比率を表す指標です。自己資本比率が高ければそれだけ借入金が少なく、健全な経営を行っているといえます。 |
負債比率(有利子負債比率) | 自己資本に対する負債の割合を示す指標、抱えている負債を自己資本でどのくらいカバーできるかを示し、この指標が低ければ低いほど、資金繰りは良好であるといえます。 |
収益性 | |
ROA(総資産利益率) | 事業に投下されている資産が利益をどれだけ獲得したかを示す指標です。 また、ROAは事業の効率性と収益性を同時に示す指標(後述しています)としても知られています。 |
ROI(投下資本利益率) | 投下した資本に対して得られる利益の割合を示し、企業の収益性や事業における投下資本の運用効率を評価する際に用いられる基本的な指標です。 |
C/Fマージン(キャッシュフローマージン) | キャッシュフローを用いる収益性分析指標の中では、最も一般的なものである。営業利益の代わりに営業キャッシュフローを用いることで、売上に対しどれくらいのキャッシュフローを企業の営業活動から生み出しているかを把握することができる |
売上高営業利益率 | 売上高に対する営業利益の割合を示す指標です。 営業利益は、本業の儲けを表すものですので、この指標が高ければ高いほど、効率益に本業が儲かっていることを指し示しています。 |
売上高経常利益率 | 売上高に対する経常利益の割合を示す指標です。経常利益は、本業の儲けを表す営業利益に、主に財務面での収益と費用を差し引きして求められる指標です。 |
成長性 | |
増収率(売上高成長率) | 前期の売上高に対して、当期の売上高がどのくらい伸びたかを示す数値をパーセントで表示したもの。増収が続き増収率が高まっているほど成長性に期待できると言えます。 |
増収益(経常利益成長率) | 前期の経常利益に対して、当期の経常利益がどのくらい伸びたかを示す数値をパーセントで表示したもの。増益が続き増収率が高まっているほど成長性に期待できると言えます。 |
配当性向 | 配当性向とは、利益をどれだけ株主に配当するかという割合。当期純利益に対して配当金支払額の占める割合の式で表される。配当性向が低いということは、利益を内部留保していることを示す。一般に、成長企業は利益をできるだけ投資に回すことで成長して企業価値を上げることを期待されるので、成長企業の配当性向は低くなる。一方で、成熟企業は投資を必要としていないため、高い配当性向を市場は期待する。 |
純資産配当率(株主資本配当率:DOE) | 年間の配当総額を株主資本で割って算出する指標のこと。株主の本来の持分である株主資本に対して、株式会社がどの程度、利益配分による配当を回しているかを示すもので、配当性向とともに株主還元の状況を示す指標の一つである。配当性向と同様に成長企業ほど稼いだ利益を成長資金に回そうとするので配当率が低くなる傾向がある。 |